28歳から独学でデザインを学び、1年以内に理学療法士の仕事退職・フリーランスデザイナーへの転身・上京・デザイン会社への就職を経験しました。
デザイン会社へ就職するとき、Webデザインとグラフィックデザインの仕事をしたかったので、Webと紙媒体、両方の「ポートフォリオ」を制作しました。
こちらの記事では、実際に制作した「紙のポートフォリオ」とその作り方、参考にした資料などをご紹介します。
※本記事で紹介する紙のポートフォリオおよびポートフォリオサイトおの著作権は、すべて私にあります。いかなる場合も無断での転用・転載・複写を固く禁じますので、ご留意ください。
※ポートフォリオサイトならびに紙のポートフォリオにつきまして、私が制作したものと酷似したものを見受けますが、私とは一切関係ありません。(2021/1/25)
Contents
制作したポートフォリオの紹介
※これまで紙のポートフォリオは誰にでも見えるように公開していましたが、知り合いの制作会社の採用担当者さんから「プロフィールだけ少し変えた、ふゆなさんのポートフォリオを持ってきた人がいました」と連絡をいただきました。
また、2021年1月24日、Instagramにて私が制作した紙のポートフォリオと酷似したものを投稿されている方を確認しました。
SNSや個人ブログにてかなり似たものを掲載・使用されているな、と思うことは時々ありましたが、酷似したものを使用されるとお客さまにも迷惑がかかりますし、私自身も悲しい気持ちになります。
上記の理由により、2021年1月24日から紙のポートフォリオの公開は中止させていただきます。ポートフォリオサイトについても、このようなことが今後も続く場合は、制作過程の記事とともに非公開にすることを検討します。
紙のポートフォリオ制作の目的

紙媒体のポートフォリオ制作の目的は以下の5つでした。
- 今までの実績と自分のことを知ってもらうため
- グラフィックデザインの仕事をさせてもらうため
- 名刺など実物があるものを効果的に見せるため
- 通信環境を気にせず見てもらうため
- ページもののデザイン練習のため
事前にポートフォリオサイトの作成・公開をしていましたが、グラフィックデザインの仕事希望もあったので、「やりたい」と口だけで主張するより目に見える形で示した方がやる気を伝えられると考えました。
また、今までちゃんと使ったことがなかったInDesignの勉強もかねて…と思っていましたが、結局Illustratorで作りました。
紙のポートフォリオの制作過程
実際に紙のポートフォリオができるまでの流れをご紹介します。
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ポートフォリオの構成を考える
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掲載する制作物をまとめて編集する
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台割りを作る(手書き)
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表紙とページのラフデザイン
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Illustratorで中身をデザイン
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中扉と目次のデザイン
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表紙と裏表紙のデザイン
制作期間は1週間、印刷はセブンイレブンのプリンターを利用しました。
ポートフォリオの構成を考える

まずは「どうすれば見た人に伝わりやすいポートフォリオが作れるか」を考えました。
使用する画像や順番、全体のトンマナ、ページの優先順位など、全体の構成を検討し、ポートフォリオの基礎となるイメージを膨らませていきました。
構成段階で考えたこと
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ファイルにするか、製本するか
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大きさはどうするか
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右とじにするか、左とじにするか
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全体のトンマナはどうするか
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何ページにするか
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何をどの順番で見せるのか
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紙特有の良さをどうやって表現するか
最終的に「A4ファイル・左とじ・20ページ以下」というスタンダードな形に落ち着き、これはポートフォリオを見てくれる人のことを考えた結果でした。
掲載する制作物をまとめる
続いて、ポートフォリオに掲載する制作物をまとめます。
画像をリストアップして、印刷後に見た目が大きく変わらないように印刷用データに編集します。
印刷用データの設定
Web用の画像をそのまま印刷すると、色がくすんだり画像自体がぼやけたりしてしまう可能性が高いので、以下のようにPhotoshopで編集しました。
- カラー設定:CMYK
- 画像解像度設定:300〜350ppi
印刷物のデザインデータを作るときに参考になるのが「入稿データの作り方」という本。グラフィックの仕事をする場合は手元に1冊置いておくと便利です。
台割りを作る(手書き)

「台割り」とは本の設計図のようなもので、どのページに何が書いてあるのかをページ順でまとめたものです。
ページをデザイン・印刷して、いざファイルにまとめてみたら「これとこれは横に並べたかったのに、ページが合わない…」なんてことにならないよう、事前にページを割り当てておきます。
写真は簡単な絵と文字だけですが、画像が入る場所や文字のボリュームなども書き込んでいくと、バランスを把握しながらコンテンツが作れます。
表紙とページのデザイン
いよいよ表紙と中身のデザインです。

表紙はポートフォリオサイトのメインビジュアルと同じ画像を使って、デザインを統一しました。(クリアファイルの表紙でぼやけてます、すみません)


中身に関しては手書きでラフを書いてから、InDesign(途中からIllustrator)にページ内のレイアウトをざっくりと作っていきました。
画像やキャプション、本文など必要なスペースを確保してから詳細のレイアウトを組み、実物があるものは実物大のスペースをとって配置する場所を決めておきました。
中扉と目次のデザイン

「中扉」とは、カテゴリーや内容の区切り、章の始まりにある入り口のようなページです。
ページが多い本は区切りがあった方がわかりやすいので、今回は制作物を4つのカテゴリーに分け、それぞれ中扉を用意しました。
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ブランディングデザイン
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グラフィックデザイン
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Webデザイン
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ウェディング
また、中扉とページ内の見出しのデザインを統一することで、今どのカテゴリーにいるのかがわかりやすくなります。

最後に目次を作り、各コンテンツのメイン画像を一覧で見えるようにして「どんなコンテンツがあるのか」が一目でわかるようにしました。
ポートフォリオ作りの参考にした本
今回の紙のポートフォリオ制作にあたって参考にした本を3冊ご紹介します。
どれも参考事例がたくさん掲載されていて、気に入った見せ方などをピックアップしながらポートフォリオを作りました。
ポートフォリオ見本帳
グラフィック・WEB・プロダクト・映像などクリエイティブ業界で採用されたポートフォリオの作り方や実例32点が紹介されている一冊です。2019年発売の比較的新しい本。
採用担当者の心に響くポートフォリオアイデア帳
デザイン・イラスト・ゲーム・アニメなど、クリエイティブ業界に採用された新卒のポートフォリオを中心に、実例50点が解説つきで紹介されている一冊です。
クリエイティブ業界を目指す人のためのポートフォリオ見本帳
クリエイティブ業界で有名な事務所の「こんなポートフォリオを求めている」といったインタビューに基づく具体的な内容や、業界に就職した人のポートフォリオ44点が収録された一冊です。
実際に就活で使ってみた感想
紙のポートフォリオを就活で使ってみて、かばんからスッと取り出すだけで内容が確認でき、これまでの仕事や制作物についてお話するきっかけができたので、Webのポートフォリオとはまた違う手軽さがあって良かったです。
ショップカードやパンフレットなどは実物を手にとっていただき、実際に触れられる紙ならではの良さも実感しました。
紙のポートフォリオは「ゆっくり見てもらえないかもしれない」と思っていましたが、実際はすべての方が最初から最後まで目を通していただき、短い時間の中でお互いの理解が深められる良いツールだと思いました。
まとめ
今回は、就活用に作った紙のポートフォリオとその作り方をご紹介しました。
制作する中で学べることが多く、会社訪問時には貴重なご意見をいただけたので、これから就活をされる方、特に「グラフィックデザイン」の仕事をしたい方には「紙のポートフォリオ制作」はオススメです。
ポートフォリオはクリエイターにとって自分自身を表現する大切なツールであり、制作には時間も労力も必要ですが、作って損なことはないのでぜひ挑戦してみてください。
Special Thanks!
今回、紙のポートフォリオ制作にあたってご指導いただいたAROWD(@arowd_info)さんには深くお礼申し上げます。